2017年 03月 19日
https://tomproject.exblog.jp/23730586
というのは、跳び箱をすることに意味がない、ということではありません。
跳び箱は素晴らしい運動です…って前にも書きましたが
「出来る・出来ない」という結果のみを気にしすぎていませんか。
出来ないことはダメだ、悪いことだ、と決めつけていませんか。
幼児の場合は特にですが、早く出来るようにした方が良い、小学校で出来ないと困る、と思い込んでいませんか。
跳び箱運動を含む体育の目的にも色々とあります。
体育をすることで身につける能力は何か?
(※ちなみに下記は文科省です↓)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05091401/003.htm
目的のひとつに、跳び箱運動などを通して、様々な運動能力や学習能力を高めることがあると思います。
跳び箱をすることで
体を支える、腕での支持やバランス、回転、体のコントロール、
走りからジャンプ、着手、空中動作という動きの切り替えとつなぎ、
助走の距離感や踏み切りの力加減、リズム・タイミングなどなど
これらの要素や能力を使うとともに、向上させようとしている訳ですね。
そして、身体的能力や運動技能だけでなく、運動を通して学習能力を高めることが重要だと考えています。
どんな運動なのか?どうやって動いているのか?観察し運動を理解する
自分がどう動いているのか?自分の身体の動きと感覚をつかむ
特に小さなこどもの場合には、身体の感覚や動きの感覚を重視すること
自ら新しい動きを学んで獲得するのか、教えられて「出来る」ようになるのか
特定の運動を早く「出来る」ようにするためには
跳び箱であれば
毎回同じ距離から助走させて、歩数やスピード、タイミングを覚えさせる
踏み切りの練習、着手の練習を繰り返す、各動作の練習と動作のつなぎの反復
フォームや動作を覚えさせる、修正するための補助など
すると早く出来るかもしれません。
しかし、
走るスピードをもっと速くしなさい
勢いよく両足で踏み切りなさい、このタイミングで跳びなさい
ここを見て両手をしっかり着きなさい
この動作を繰り返して覚えなさい
というような練習法で出来るようになる過程で学習されるのは
その特定の運動だけの動作パターンです。
色々な運動をすることで身につけていく能力を組み合わせて
「できるようになる」
平衡感覚や自分の動きとリズムをつなげる能力や、距離や空間を把握する能力、動きを切り替える能力などを向上させ、様々な運動スキルを獲得していき、それらを組み合わせて「跳び箱運動」ができるようになる。
特定の動きを特化・固定化するのとでは大きく違います。
運動でも勉強でも
出来るという結果だけを求めてしまうと
確かに出来るようになったように見えるのだけれど
本来求めるべき状態とは違った「形だけ」の結果になってしまうことがあると思います。
考える事のない丸暗記型の学習
手取り足取り、ずっと指示をされながらの反復練習
道のり・速さ・時間、道のり・速さ・時間、道のり・速さ・時間…
答えが出せればいいですか
それで本当に数学的な思考が育ちますか
練習の数や量、反復が必要な時もあるでしょう
そのバットの素振り、何の目的でしていますか
それをすることでどんな効果がありますか
変えたい動きの原因は何ですか、その素振りをすることで変わりますか
ただ運動ができるようになればいい
体力テストの成績が上がればいい
スポーツの試合に勝てばいいのではないのです
自分で考える力、学習する能力があります
それを奪うような指導をしていないか
赤ちゃんも誰にも教わらずに動きを獲得していきます。
お座りができるように赤ちゃんを体を支える補助クッションに座らせる
こぼさないで飲めるようにストローつきのマグで飲み物を飲ませる
早く立てる・歩けるように、手を持って足を着かせる、歩行器で歩かせる
形だけの結果が得られても
その過程で身につけるものが得られません
本当に必要なのは、結果として見える状態ではなく、その過程での発達、能力を獲得していくことなのです。
コオーディネーショントレーニングでは、出来る・出来ないが問題ではなく、「やろうとしている」ことが重要であり、脳と身体に「刺激を与える」ことに意味があります。
もちろん跳び箱もできるようになるのですが
運動のための運動になってしまっては目的からずれるのです。
高橋