赤ちゃんの運動発達の目安

赤ちゃんの発達過程、運動発達には順序や時期があります。

こどもの発達のことだけでなく大人の健康診断の数値などでも、平均や基準値から外れると「異常ですか?」「どこか悪いですか?」と心配になる方がいらっしゃいます。

健康状態や発達段階がどうなっているか、平均値・基準値はもちろん目安になります。ただし数値のみで判断はできませんし、問題がなくても基準値から外れていることもあります。基準の値などを参考に実際にその人をみて考えていくことが必要になります。

発育発達の場合は特に個人差が大きいので、発達の目安から外れていたり他のお子さんと比べて早い・遅いがあったりすると心配になりやすいですね。まず個人差があること、同じ生後○か月でも在胎期間が違うことがあります。少し大きくなってからの話だと幼児、小学生などは同じ学年でも生まれ月によってだいぶ違いがあります。

さて、赤ちゃんの運動発達ですが、口や舌の動き、目が動くようになる、手を握る、手をなめる、頭を持ち上げるようになる…だんだんと色々なことができるようになってきます。

運動発達の目安とされるものは、ハンドリガード・指しゃぶり(2~4か月ごろ)、首座り(3~4か月ごろ)、寝返り(5~6か月ごろ)、足なめ(5~6か月ごろ)、お座り(6~8か月ごろ)、ずりばい(6~8か月ごろ)、ハイハイ(8~10か月ごろ)、高這い(10か月ごろ)、つかまり立ち(10~12か月ごろ)、つたい歩き(10~12か月ごろ)、ひとり歩き(1歳~1歳3か月ごろ)…などあります。※記載した時期は目安です、2・3か月遅いもしくは早いこともあります。

(それと「首座ってきたね~」などと言われることがありますが、首座りにも段階があり、座ってきはじめたところなのか・前後左右方向しっかり座っているのか確認したほうがよいと思います。)

これらの目安を参考に、早い遅いや動きが気になるなど発達に心配なところがあれば、専門機関に相談してみるとよいかもしれません。

寝返りが早かったのはどうしてだろう?足をなめる動きをしないのはどうしてだろう?ずりばいで左右交互に手足が動かないのはなぜだろう?

このような課題があったとして

首や背中の緊張が強いのかもしれない。

背中側の緊張が強く、お腹側の筋肉がうまく働かず、腰や脚を持ち上げづらいのかもしれない。

向き癖があり首や肩の緊張や動きに左右差があるのかもしれない。

ATNRなどの原始反射の影響で首と左右の動きにぎこちなさがあるのかもしれない。

首や背中の緊張を緩めるような手技をしてみよう。

屈筋に刺激が入りやすい姿勢になるようにしてみよう。

抱っこの仕方や寝る時のまくら、ふとん、姿勢などを変えてみよう。

仰向けでの顔の動きや手の動きはどうだったか?手なめや指しゃぶりはどうだったか?手の動きや遊びを促すようにしてみよう。

など、さまざまな仮説とその改善策が考えられます。

寝返りで反っている・左右差がある、ずりばいやハイハイで左右の動きに違いがある、○か月になったけど○○ができない、寝返りしないでずりばい、ハイハイしないで立つ…

基準となる運動発達に対して早い遅い、つまずく、段階を飛ばすなど、多くの疑問や課題が出てきます。

それらの課題に対して「寝返りがうまくできないから寝返りの練習」「お座りができないからお座りの練習」のように取り組むと上手くいかないかもしれません。

ある運動ができるようになるためには、それに必要な身体能力や感覚が育っていることが必要です。

寝返りするためには頭を持ち上げて左右に動かす、体を丸めて脚を持ち上げる、首や肩・骨盤をひねって体を回転させるなどの動きを組み合わせます。

これらの動きや感覚を育てるのはそれまでに毎日してきた周りを見る目や頭の動き、哺乳運動、仰向けでの手足のバタバタ、手足をさわる・なめるなど、寝返り前の身体運動です。

発達段階にあわせた動きを丁寧に。

かけ算ができない時には足し算・ひき算に戻る。

数的概念がわからない時には数・長さ・重さ・時間を身体で感じ理解するために運動する。

分数でつまずいた時にはケンケンパーなどで移動の距離と歩数、リズムの感覚を身体に入れる。

つまずいた時できない時は前の段階から見直して復習してみましょう。

赤ちゃんの場合には、体の反りが強いことが後々の育ちに影響を与えることがあり、特に新生児期ごろは、丸くなった姿勢で寝る・抱っこなど気をつけてあげることが大事だと感じます。

それと、課題や問題が見つかったときに、それまでを振り返って後悔することがあると思いますが、気づいたときから、今できることに取り組んでいきましょう。

大人になってからも身体の不調や動きの悪さの原因に「舌を全然つかえていなかった」「頭をきちんと持ち上げられていなかった」「腰がきちんと座っていなかった」などがあることに気づきます。そしてそれらの課題に対しても首上げ、寝返り、ずりばいなどに丁寧に取り組むことで改善できます。

高橋

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